富国と強兵
本, 中野 剛志
によって 中野 剛志
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内容紹介 将来のアメリカ大統領候補と言われている若き女性リーダー「オカシオコルテス」下院議員も提唱し、大論争となっている「現代貨幣理論」(MMT)を冒頭1章から3章で詳細に解説! 衰退著しい覇権国アメリカ、混乱する中東、クリミアを強引に奪取するロシア、東シナ海、南シナ海で挑発行為をやめない中国。パワーバランスが大変動する今、「地政学」という、古めかしく、禍々しいニュアンスすら伴った言葉が現代に蘇ってきている。一方でこれまでの地政学的思考だけで、世界を分析し、生き抜くことは非常に困難だ。経済が地政学的環境にどのような影響を与えるのか、またその逆についても考察を及ばさなければならない。そうしなければ国際政治経済のダイナミズムを理解できず、戦略を立案することもできない。そこで、地政学と経済学を総合した「地政経済学」とも呼ぶべき新たな思考様式が必要となる。本書では、「地政経済学」とは、「富国」と「強兵」、すなわち経済力と政治力・軍事力との間の密接不可分な関係を解明しようとする社会科学であることを示し、地政学なくして経済を理解することはできず、経済なくして地政学を理解することはできないことを明らかにする。『TPP亡国論』で日米関係のゆがみを鋭い洞察力でえぐり出した著者が、資本主義終焉論と地政学が復活する今と未来を読み解く渾身の書き下ろし大著。ポスト・グローバル化へ向かう政治、経済、軍事を縦横無尽に読み解く気宇壮大な21世紀の社会科学がここにある! 内容(「BOOK」データベースより) 地政学だけでは世界覇権のゆくえはわからない。ポスト・グローバル化へ向かう政治、経済、軍事を縦横無尽に読み解く気宇壮大な21世紀の社会科学。 著者について 中野 剛志(ナカノ タケシ)評論家1971年、神奈川県生まれ。評論家。元・京都大学大学院工学研究科准教授。専門は政治経済思想。1996年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現経済産業省)に入省。2000年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。2001年に同大学院より優等修士号、2005年に博士号を取得。2003年、論文`Theorising Economic Nationalism' (Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞。主な著書に山本七平賞奨励賞を受賞した『日本思想史新論』(ちくま新書)、『TPP亡国論』『世界を戦争に導くグローバリズム』(集英社新書)、『国力論』(以文社)、『国力とは何か』(講談社現代新書)、『保守とは何だろうか』(NHK出版新書)、『官僚の反逆』(幻冬舎新書)などがある。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 中野/剛志 1971年、神奈川県生まれ。評論家。元・京都大学大学院工学研究科准教授。専門は政治経済思想。1996年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。2000年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。2001年に同大学院より優等修士号、2005年に博士号を取得。2003年、論文“Theorising Economic Nationalism”(Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞。主な著書に山本七平賞奨励賞を受賞した『日本思想史新論』(ちくま新書)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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大学で経済学を勉強した者、試験勉強で経済学を勉強した者の中に残る、後味の悪い気持ち。合理的経済人、貨幣ヴェール観、均衡理論、高等数学を大量に使用した異様なまでの学問…。何かがおかしいと思いながら、精緻化された経済学の前になんとなく、そのままスルーしてきてしまった人も多いのではないでしょうか??この本は、そんな疑問を一気に吹き飛ばしてくれます。貨幣観の転換から見えてくる現実経済の説明は、従来の主流派経済学とは違い、地に足が着いたものです。不均衡、不確実性(Uncertainty)、信用、社会的技術、国家権力、アニマルスピリット等、現実の経済を理解するのに適したキーワードが並んでいます。主流派経済学が説明するように、現実の経済は理論通り均衡するはずがなく、将来の期待に楽観視し過ぎたり、過度に悲観的になりすぎたり、カオスになるのが普通です。当たり前のことですが、人間は神様でななく、将来どうなるかはわからない存在です。わからないながらも、不確実な将来に向かって、様々な習慣や歴史的経緯を参考に、一歩を踏み出していく存在です。過去に上記のような現実的な前提をもとに、経済学や経済観を構築していたが、人々に忘れられていた多くの人物やその理論について、この本では光をあてています。バジョット、ケインズ、シュンペーター、ハイマン・ミンスキー、ランダル・レイ、イネス、クナップ、ラーナー、ジョーン・ロビンソン等、素晴らしい学者達の理論を、著者が上手くまとめてくれています。貨幣観の転換を切り口とした主流派経済学への批判は、爽快感を感じさせてくれるとともに、知的興奮を覚えさせてくれることは間違いないでしょう。私はこれだけで素晴らしいと思いましたが、この本の凄さは、純粋な学問というものは無く、隣接した学問の絶え間ない勉強を通じて、理解が深まるという点を指摘しているところです。英語で言うなら、「interdisciplinary」な態度なのでしょう。経済学者は経済学のみを勉強していれば、経済学を極めることができると考えてきましたが、政治経済学という名称があるように、経済学だけを勉強しているだけでは、理解は深まらず、むしろ主流派経済学がそうであったように、異様な学問体系を築き上げてしまうことすらあるのです。経済学に限って言えば、心理学、地政学、政治学、歴史学、宗教学、軍事学、哲学等の幅広い学問体系を巻き込み、人間への理解を深めた姿勢が必要です。著者は、まさにそうした視点から、これまで研究を続け、今回の大著を書き上げたのだと思います。著者は、学問書としてこの本を発行されたと思いますが、ノブレス・オブリージュや国を思う一国民としての心が、この本の根底に流れている気がします。著者の今後の素晴らしい続本に期待して、私のコメントを終了したいと思います。
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