棋士マイケル・レドモンド
本, マイケル・レドモンド
によって マイケル・レドモンド
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内容紹介欧米人として初めて九段(囲碁最高位)に昇段。 努力の天才 マイケル・レドモンドの生き方。 そして、盤上に見る夢とは―― 人気棋士の半生を描いた1冊! <本文より> 私――マイケル・レドモンドはアメリカに生まれて碁を覚え、日本にやってきてプロ棋士になりました。 本書は私の半生を正直に綴ったものです。 アメリカに生まれた私がどのようにして碁というすばらしいゲームに出会って成長したかを知っていただけたらと考え、 出版を決断しました。 碁の面白さとすばらしさを少しでもわかっていただければ、こんなしあわせはありません。内容(「BOOK」データベースより)10歳で囲碁と出会い、碁の面白さに魅了され、来日。日本でプロ棋士に―人気棋士の知られざる素顔に迫る!著者についてマイケル・レドモンド/ 日本棋院東京本院所属。 1963年生まれ。米国カリフォルニア州出身。 大枝雄介九段門下。81年入段。85年留園杯優勝。92年新人王戦準優勝。 00年、欧米人として初めて九段に昇段。同年にテレビ囲碁番組制作者会賞受賞。 00、08年NHK囲碁講座講師をつとめる。 09年、史上85人目、欧米出身棋士としては初めて公式戦通算500勝達成。 著書に『レドモンドの基本は格言にあり』、『マイケル・レドモンドの攻め・守りの基本』などがある。著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)レドモンド,マイケル 日本棋院東京本院所属。1963年生まれ。米国カリフォルニア州出身。大枝雄介九段門下。81年入段。85年留園杯優勝。92年新人王戦準優勝。00年、欧米人として初めて九段に昇段。同年にテレビ囲碁番組制作者会賞受賞。00、08年NHK囲碁講座講師をつとめる。09年、史上85人目、欧米出身棋士としては初めて公式戦通算500勝達成(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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大相撲の横綱をはじめ、日本の伝統が色濃く残る社会で実績を残した外国人は、しばしば「日本人よりも日本人らしい」と形容されることがありますが、この人もその一人。10歳で囲碁を覚え、13歳の夏休みに初来日して6週間囲碁漬け、その時に「GOING TO JAPAN(日本に碁を打ちに行くという駄洒落)」という見出しで、地元・カリフォルニア州サンタバーバラの新聞に紹介されたそうです(25頁)。翌年、14歳でプロを目指して院生修行のため来日、大枝雄介九段の内弟子となって17歳でプロ合格。平成12年、ついにプロ最高位の九段に昇段して、現在に至るまでの経緯が、書き言葉のような折り目正しい日本語で語られており、それだけでも、お人柄がしのばれます。マイケルさんといえば「格言」ですから、NHKテレビ講座『基本は格言にあり』で扱ったものの中から10本を抜き出して解説されています(100頁以下)。さらに、コウ好きで有名な張羽さんと、(正しい字は木偏に羽ですが、フォント無く失礼します・以下同)延々コウを取り合って、304手で半目勝ちした熱戦譜も(153頁以下)。終わりの方では、碁界を取り巻く状況、とりわけ若年層における囲碁人口の急激な減少と、国際棋戦での日本勢の不振につき、危機感を持って語られ、囲碁普及にかける決意が述べられています(175頁以下)。この辺は、張羽さんも、『勝利は10%から積み上げる』で、同じような問題意識を展開されていました。最後は、奥様の牛仙仙・中国棋院三段と共訳された『黄龍士』(清流出版刊・本因坊道策と同時代の中国の伝説的な棋士の伝記)から、「囲碁十訣」を紹介し、解説しておられます(184頁以下)。これが、実生活にも応用できて秀逸。以下、大意を抜き書きします。1.貪不得勝(むさぼらば勝ちを得ず)欲張りすぎると勝てません。20目も30目も勝ってるのに、なお相手の石を追いかけると、自陣にほころびが生じ、勝利がスルッと逃げてしまいます。2.入界宜緩(界に入りてはよろしくかんなるべし)「界」、すなわち敵陣に接している最前線では、ゆるやかに打て、ということ。3.攻彼顧我(彼を攻めるに、我をかえりみよ)攻めなければならない局面では、自分の態勢に不備が無いか注意しなさい。猪突猛進を戒めた言葉。4.捨子争先(子を捨て、先を争え)「子」とは石のこと。つまり、つまらない石はサッサと捨て、先手を取りなさいということ。5.捨小就大(小を捨て大につけ)分かっちゃいるのですが、これが簡単には出来ないから、碁は難しい。6.逢危須棄(危うきにあえば、すべからく捨つべし)危険な目にあったら、被害が小さいうちに捨てなさい。7.慎勿軽速(慎みて軽速なるなかれ)解釈が難しい項。慎重すぎても、軽く打ちすぎても、良くないということ。8.動須相応(動かばすべからく、あい応ずべし)相手の動きに応じて、動きなさい。「お付き合い」するだけじゃなくて、場合によっては「手抜き」も可。9.彼強自保(彼強ければ、みずから保て)相手の強いところでは、こらえて持ちこたえる。10.勢孤取和(せいこなれば、和を取れ)石が孤立したら、いたずらに戦うことは避けなさい。「2.入界宜緩」や「9.彼強自保」に近い。「1.貪不得勝」はビジネスにも通じると、マイケルさんは書いておられますし、私は、個人的には、その裏返しである「6.逢危須棄」こそ人生の要諦、「見切り千両」、損切り上手こそ人生巧者だと思います。マイケルさんは、17歳でプロ入りを決めたときに、「九段昇段」「7大棋戦のリーグ戦入り」「タイトル獲得」を目標として定めたそうです(172頁)。現在のところ、実現したのは「九段」だけですが、本書にもある通り、藤沢秀行さんは50歳代で棋聖6連覇、66歳で王座獲得、67歳で防衛、杉内政男さんは、2015年現在、95歳でなお現役、若手相手にしばしば打ち分け(五分)の成績を残されています(174頁)。マイケルさんには、まだまだ、タイトル目指して頑張っていただきたいと思います。これについては、ご本人が巻末で決意を表明しておられますので、少し長く引用します。「世界中の碁を通じたコミュニケーションを図るのが私の大目標ですが、もう一つの目標を忘れてはいけません。トーナメントプロとして、少しでも上に行くことです。最近は若手全盛ですが、50歳になったばかりの私だって、リーグ戦に入ったり、タイトルを獲得したりという夢を諦めたわけではありません。私の周囲には、50歳を過ぎてもなお第一線で頑張っておられる先輩がたくさんいます。年齢とともに体力と気力が衰えるといいます。さいわい、体力は問題なし。気力だって、負けないつもりです。一番の急所は、いかに研究し、努力するかです。本書の出版を機に、初心に戻って、もうひと頑張りしなくては。いや、ひと頑張りなどという表現は甘い。死にものぐるいの研鑽を積まなければなりません。マイケル・レドモンドは碁の普及だけでなく、盤上でも立派に戦っていると思っていただかなくては。私が碁を知ったのは10歳の頃。今活躍している若手棋士に聞くと、ほとんどは幼稚園の頃に覚えたといいます。この数年の差は大きく、埋めようと思っても埋められるものではありません。しかし、出発点が遅かった分、私には伸びしろがあると、楽観的に考えています。50歳以降の私に注目していただきましょう。」(203-204頁)歴代本因坊は、本名から一字を取って「本因坊秀◎」と名乗ることが多いので、それなら自分は「本因坊シュウマイ」か、と院生修行時代に冗談半分で言っていたとのこと(64頁)。「本因坊シュウマイ」の実現を、心よりお祈りいたします。読後感爽やかな一冊。もちろん★5つ。
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